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秋に増える乾燥症状 ~『陰虚』の対策~

こんにちは!なかむら薬局漢方サロン相談室の岡です。

本日は、気温が徐々に低くなる秋に多くなる症状と、それに関わる『陰虚(いんきょ)』の体質について解説いたします。

夏から徐々に秋へと移り変わり、気温が低くなっていくと、空気に含まれる水分量が減っていきます。

そのため、無意識に体内の乾燥が進んでしまい、喉の痛み・皮膚のかゆみ・ほてり感などの不快な症状が出やすくなります。

 

漢方では、そのような症状が出ないよう体内を潤したり(気・血・水のうち水を増す力)、体内で起こる亢進症状(過剰な活性、過敏症状など)を落ち着かせる働きを「陰(いん)」の力と呼び、その陰が不足している体の状態を「陰虚」と表します。

喉の痛み・皮膚のかゆみ・ほてり感は陰虚の状態で起こる症状の代表的なものです。

秋は特に体の外側から乾燥が進みやすいため、普段から陰虚の傾向にある方は特に注意してバランスを整えていく必要があります。

陰虚チェック

もともとの体質が陰虚であるかどうかは、出ている症状によってある程度判別することができます。

  • 喉が渇くことが多く、水を飲んでもすぐに喉が渇く。または、朝起きて喉が痛いことが多い。
  • 手足がほてりやすい。寝る前に足裏や体がほてって眠りにくい。
  • 熱はないのに、鼻息や口の中が熱い。または微熱が続く。
  • 便がころころと固い。いきんでも出しにくい。
  • 皮膚がかさかさして、粉をふく。またかゆみが出やすい。
  • 目がよく乾いて(ドライアイ)眼精疲労になりやすい。 など

乾燥する、熱がこもるような症状が目立つようであれば陰虚体質を持っている可能性は高いです。

現代人は目を酷使することが多く、夜遅くまで活動していることも多いために、ほとんどの方は多かれ少なかれ陰虚を持っていることが多いです。

また陰は「腎」と呼ばれる体の根本の生命力によってコントロールされるため、過労、寝不足、血液循環低下、性生活の乱れ、加齢などが症状のトリガーとなります。

陰虚体質や乾燥症状のケア

陰虚の体質は、乾燥しているからといって、水を飲めば治るというわけではありません。

体の熱と水のバランスが崩れ、言わば冷却システムがダウンすることによって起こる症状であるため、慢性化しやすい=根本から体の働きを整え、ケアしていく必要があります。

水分補給は少しずつ、こまめに

一度にガブガブたくさん飲んでも、体内で冷却水や潤いに変わる水分は僅かです。また代謝しきれない水分が体に溜まってしまうと、むくみや冷えに繋がり、そのむくみを取るための対処(排水)は陰虚体質の人には逆効果となるため、養生が難しくなります。

15分に1回程度、100ml以下を目安に一口ずつ、気持ちを落ち着かせてゆっくり水分補給をすることでちょっとした気分転換・疲労ケアにもなります。

疲労を溜め込まず、考え事は控えめに

人間の脳はコンピュータのようなもの。休ませず常に何かを考えていると疲れて熱が溜まり、オーバーロードを起こします。その際に冷却のための水が大量に消費されてしまいます。

「常に何かを考えている、寝る前はいろいろと不安が起こって眠れない」という方は特に脳からの休養・疲労回復が大切。1日のうち気持ちを切り替えるルーティンを作って意識して自分を労わりましょう。

体温調節しやすい服、空気の循環を意識

「温めるとのぼせて、冷やすと寒くなる」という方は外側の環境から整えましょう。

睡眠中は特に、寝間着・寝具の素材を見て、吸湿や通気性を重視。また体の周りの空気が動いているとほてりを感じにくいため、サーキュレーターを上手く使って自分の周りの空気を動かすのもコツ。

過剰な温め・辛いものは避ける

陰虚体質の方は基本的に体液の分泌を促すものがNG。

サウナで大量の汗をかいたり、唐辛子などの辛い物、熱すぎる食べ物などは慎重に。渇き感が強い時は避けたほうが無難です。

まとめ

いかがでしょうか。ご自身の体質にもあてはまること、いくつかはあるかと思います。

漢方ではこうした陰虚体質には「補陰」といって、潤いを補う・また体の疲れを癒したり興奮を鎮静させる作用のあるものを使います。

最も多くご相談をいただく「慢性上咽頭炎」の方はこの陰虚体質が下敷きになっていることも多くありますので、補陰の漢方で劇的に効果が出ている方も少なくありません。

乾燥の季節に合わせたケアで、少しでも心地よく過ごすことができればと思います。気になる方はお気軽に御相談ください♪

 

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